ケアマネージャーが知っておきたい社会保障制度ガイド

日常生活自立支援事業と成年後見制度の活用ポイント

日常生活自立支援事業と成年後見制度の活用ポイント

日常生活自立支援事業の活用事例

●事例概要

 

Aさん: 85歳、男性、独居、要介護1、脳梗塞の後遺症で左半身麻痺

 

福祉サービス: 週2回のヘルパー

 

経済状況: 年金月額14万円、預金なし、借金300万円

 

住環境: 1Kアパート、家賃5万円

 

親族: 結婚暦なし、親兄弟なし

 

相談経路: ケアマネジャー

 

知人が通帳、カードを預かり、その中から借金の返済、公共料金、家賃を払っている。

 

本人は、月に数千円をわたされるのみ。

 

ヘルパーが食材を購入するのも大変な状態。

 

ケアマネジャーが、知人の支援ではAさんの生活改善は不可能であると判断し、
日常生活自立支援事業の支援を依頼してきた。

 

●アセスメント後の課題

 

多重債務の整理、公共料金、家賃の滞納もあるので、今後の生活費の確保が急務である。

 

住宅改修の不備がある。

 

郵便物や書類の手続きの不備がある。

 

日中の活動場所は殆どが自宅。

 

本人は、もともと社交的であったが、
お金がないので最近は外に出ず、家でじっとしていることが多いとのこと。
借金など、今ある生活は自分が巻いた種なので、我慢しなければ行けないと自覚。
とにかく借金を早く返済したいと思うだけで、知人のいわれるがままの生活しか考えられず、
ヘルパーやケアマネジャー等の助言も聞き入れない状態。

 

●支援内容

 

知人と話し合い、通帳とカードを返却してもらう。

 

収入支出の関係を明確にし、現在の借金残高などをはっきりさせ、
生活に必要なのはいくらで、返済にはいくらまわすことができるのかを一緒に考えた。

 

無理のない計画や優先順位を立てながら、
金融機関に同行しお金の流れを一緒に確認し、生活を安定させた。

 

借金の問題に関しては、司法書士と連携して任務整理を行い、
毎月返済可能な金額で和解した。

 

本人が望む生活をするために、自分は何が出来るのか、
どのようなサービスが必要なのか、サービスを受けるためにはいくら必要なのかなどを
本人とケアマネジャー、日常生活自立支援事業所のスタッフの3人で話し合いをした。

 

Aさんに、「どのようなことでも話してください。」、「自分の人生です。」、
「一緒にやっていきましょう。」、などと伝え、
Aさんの発言の機会と発言の保障を続けることにより、
「おいしい食事がしたい。」、「外出の機会がほしい。」、
「借金を返済したらお金をためて大きなテレビがほしい。」などの希望がでた。

 

Aさんの希望をかなえるために、ケアマネジャーを中心に役割を明確にしたチームを発足した。

権利擁護の担当者に相談

このような支援の活動例がありますが、
支援活動の依頼の相談は、ケアマネジャーや地域包括支援センター、
行政、民生委員などが経路になっていて、相談内容の多くは、金銭管理の支援に関することになっています。

 

そして、いざ支援に入ると、単に金銭管理だけでなく、日常生活の場で色々な支援が必要な場合が多く、
最初に示された相談内容だけの支援では不十分であることが少なくありません。

 

そのため、裏に潜む課題にいかに気付く事ができるかが、
権利擁護の視点として重要なものとなります。

 

このような課題を多く抱える利用者を支援するためには、
チームでの支援が必要ですが、日常生活自立支援事業や成年後見制度を使うことにより、
権利擁護に関する制度の知識を持つ支援者がチームに加わることになります。

 

権利擁護に関する制度の知識を持つ支援者がチームに加わることによって、
共により良い支援を考えるパートナーを得ることに繋がります。

 

ケアマネジャーが、自分にとっての適切な支援が判断できにくくなっているのではないか?
と感じる利用者さんがいる場合は、
社会福祉協議会や地域包括支援センターの権利擁護の担当者に相談することで
より良いサポートへとつなげることができるはずです。

 

殆どの場合が、金銭管理ができなくなる前段階で、
判断能力の低下が起きていると考えられます。

 

ですから、この時点で、自分に必要なサービスが曖昧になり、
納得できないままに、ケアマネジャーが言うなら・・・と自分の意思が希薄になり、
いよいよ金銭管理の問題がでてくるようになるようです。

 

早期の予防のためにも、社会福祉協議会や地域包括支援センターの権利擁護の担当者に相談することを検討してみてください。